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特許出願非公開制度の概要(第2回)

 本制度の審査は、特許庁による第一次審査と内閣府による保全審査(第二次審査)の二段階に分けて行われます。

 第一次審査(経済安全保障推進法第66条)は、政令で定められた技術の分野(特定技術分野)に該当する発明であるか否かを判断する定型的な審査です。出願受理後3ケ月以内に第一次審査が完了します。ここで、特定技術分野とは、安全保障に影響する技術分野、国民生活や経済活動に影響する技術分野とされています。

 保全審査(経済安全保障推進法第67条)は、内閣総理大臣(内閣府)が保全指定をすべきか否かを検討、決定する手続であり、第一次審査の結果特許庁から内閣総理大臣に送付された特許出願に加え、出願人から保全審査に付することを求める旨の申出があった特許出願も保全審査の対象となります。

 

 保全指定の期間は、保全指定の日から1年以内の範囲(経済安全保障推進法第70条第2項)であり、必要があればその期間が延長されます(経済安全保障推進法第70条第3項)。

 保全指定の対象となった発明(保全対象発明)には、以下の制約①~⑥及び罰則⑦が科せられるとともに、保全指定を受けたことによって損失を受けた者は通常生ずべき損失が国から補償されます(法第80条第1項)。

 

①保全指定が解除されるまで特許出願を取り下げることができない(経済安全保障推進法第72条第1項)(保全指定がされるまでの間は特許出願を取り下げることができ、取り下げれば本制度による公開禁止等の規制はかかりません)

②内閣総理大臣の許可を受けた場合を除いて保全対象発明を実施することはできない(経済安全保障推進法第73条)。

③正当な理由がある場合を除いて保全対象発明を他者への開示することはできない(経済安全保障推進法第74条)。

④特許出願人及び発明共有事業者は、保全対象発明に係る情報の漏えいの防止のために必要かつ適切な措置を講じなければならない(経済安全保障推進法第75条第1項、第2項)

⑤他の事業者に保全対象発明の内容を共有するときは、内閣総理大臣の承認を受けなければならない(経済安全保障推進法第76条第1項)

⑥保全指定が解除されるまで、原則として外国出願(特許協力条約に基づく国際出願を含む。)をすることができない(経済安全保障推進第78条第1項及び第2項)。

⑦保全対象発明を正当な理由なく開示すると、罰則が科されることがある。

 

 保全対象発明には、上記のように、発明の実施や開示の制限等の情報流出防止のための制約及び罰則が科せられるため、特許出願に係る発明が保全対象発明となる可能性があるか否かを出願人が認識しておくことが重要です。

 

 本制度については、内閣府HP、特許庁HP等にて、詳細に説明されています。また、内閣府HPには「特定技術分野」及び「特許出願の非公開に関する適正管理措置に関するガイドライン(第一版)」が公開されています。