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特許出願非公開制度の概要(第1回)
令和6年5月1日より、「経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保に関する法律」(以下、「経済安全保障推進法」という。)に基づいて、特許出願非公開制度が開始されています。
この制度は、特許出願に関して簡潔にいうと、特許出願の出願公開の特例に関する措置、及び、特許出願に係る明細書等に記載された発明に係る情報の適正管理その他公にすることにより外部から行われる行為によって国家及び国民の安全を損なう事態を生ずるおそれが大きい発明に係る情報の流出を防止するための措置を講じるものです(経済安全保障推進法第65条)。具体的には、当該発明を一定期間非公開とする制度(出願公開、特許査定及び拒絶査定の手続きを留保する制度)です。
特許法は、発明の保護及び利用を図ることにより、発明を奨励し、産業の発達に寄与することを目的としており(特許法1条)、この目的を達成するために、特許出願された発明について、特許出願人には所定条件の下で特許権を付与するとともに、公開することで第3者への利用を図るとしています。この趣旨の下、従前では、特許出願がされれば、その発明は、国家及び国民の安全を損なうおそれのある発明であっても、1年6か月経過後に公開されていました。
一方、諸外国の中には、発明の内容によっては特許出願された発明を非公開とする制度を設けている国もあります。
そこで、国際情勢の複雑化、社会経済構造の変化等に伴い、国家及び国民の安全を害する行為を未然に防止して安全保障を確保する「経済安全保障推進法」が制定され、特許出願についての非公開制度が制定されました。
(第2回に続く)