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進歩性主張の根拠事実_後出し実験データの参酌(第1回)
特に化学・バイオ分野の特許出願において、審査で進歩性欠如の拒絶理由が通知された場合に、拒絶理由が妥当でない旨の主張とともにそれらを裏付ける新たな実験データ(後出し実験データ)を提出することがあります。そして、後出し実験データが参酌されて進歩性が認められることは比較的多いものと思います。進歩性の判断において後出し実験データが参酌される理由として、特許出願時にあらゆる先行技術を精査することを出願人に厳しく求めるのは酷であること、出願時において、将来どのような引用発明と比較検討されるのかを出願人が知り得ないことなどが挙げられます。
これに対し、進歩性の判断において、出願人が提出した後出し実験データを参酌することには慎重であるべき、との考えもあります。後出し実験データを、仮に、明細書に組み込む補正をすれば、新規事項に該当する(補正が不適法である)ことは明らかです。このような後出し実験データを参酌して進歩性を判断することは妥当でないとの考えにも一理あります。
特許実務における進歩性の判断において、後出し実験データがどのように取り扱われているのか、次回以降、概況をみていきます。
(第2回に続く)