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欧州代理人が来所されました。

 8月22日、Hoffmenn Eitle より、欧州代理人(Daniel Grohs氏、Mieko Matsuzawa氏)が来所されました。日本は新型コロナウィルス第7波の最中ですが、久しぶりに対面で意見交換をすることができ、大変有意義な時間でした。トピックの一部をご紹介します。

 

 物の用途限定発明のうち、公知の物に対して用途の違いのみで構成を区別化する用途発明が、日本では、医薬発明に限らず比較的広く認められています。他方、欧州(EP)では、医薬用途においてのみ用途発明が認められます。したがって、医薬用途以外の用途発明が欧州で審査に付されると、当該用途は、その物の用途に適する(suitable)と解釈されるに過ぎません。つまり、先行技術の範囲は当該用途以外にも広がり、その意味で、新規性・進歩性のハードルが日本よりも高くなります。

 それでは、用途を発明特定事項として有する物の発明について、欧州の審査で、当該用途以外の先行技術に対する新規性・進歩性のハードルもクリアして特許が成立した場合、権利行使の場面で当該用途はどのように解釈されるのか。

 少なくともドイツでは、審査段階と同じ解釈になるだろうとのことでした。つまり、第三者が特許発明と同じ物を、特許発明の用途以外に使用していた場合でも、特許発明の用途に(使用した場合に)適した物であれば、特許権の効力が及ぶだろうとのことです。

 米国におけるプロダクトバイプロセスクレームのように、発明の要旨認定と技術的範囲の解釈が異なるケースがあります。上記の用途発明の権利解釈は、審査のハードルと技術的範囲との整合性の観点で、妥当なものと思います。今後、欧州統一特許裁判所(UPC)において、判断が下される日が来るかもしれません。