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米国特許弁護士が来所されました。(2)

 今回は、(2)プロダクトバイプロセス Claim に関する米国特許弁護士のレクチャーの内容を簡単にご紹介します。

 

 プロダクトバイプロセス Claim は、米国では、特許性判断(審査、審判等)の場面と侵害訴訟の場面とで、異なる解釈がなされる実務が確立しています。特許性の判断ではプロセスに縛られずに、物(構造)としての同一性に基づき新規性・進歩性を判断します(物同一説、先行技術の範囲は広くなります)。他方、侵害訴訟では、権利範囲がプロセスに限定されます(製法限定説)。数ある先行技術を切り抜けて権利化しても、効力の狭い特許権になってしまうことも多いように思います。英国もプロダクトバイプロセス Claim に関し、米国と同様の実務とのことです。

 他方、ドイツは特許性判断、侵害訴訟の両方において、日本と同様に物同一説を採用しているそうです。

(補足:韓国も原則、物同一説で統一されています。主要国のなかで、特許性の判断において、はっきりと製法限定説をとる国はない印象を受けます。侵害訴訟において、物同一説をとるか、製法限定説をとるのかが、国によって異なると考えてよいかもしれません。)

 なお、日本では最高裁判決を受けて、プロダクトバイプロセス Claim は原則、明確性要件を満たしません(最近の審査では、明確性の判断は当初よりも柔軟になっています。)。他方、米国では、プロダクトバイプロセス Claim であることによる、記載要件上の不利益はないとのことでした。

 

(以上)